宅建試験 民法の判決文問題の解き方のコツ

宅建

こんにちは!りんぐるです。

私は、2021年10月に受験した宅建に一発合格し、人生が変わりました!

最近の宅建試験では、問1に判決文問題が出題されることが多くなってきましたね。でも判決文問題って、苦手意識がある方も多いのでは…?

私も民法は苦手科目でしたが、判決文問題だけは得意でした

  • 言葉づかいが難しくて内容が理解できない…
  • 問題文が長すぎてわかりにくい…
  • 読むのに時間がかかってしまうから苦手…

こんなお悩みをお持ちの方に、私の判決文問題の解き方のコツをお伝えします

まずは、判決文問題を見てみましょう

では、2023年(令和5年)10月に実施されました宅建士試験の問1を例に見てみましょう。

遺産は、相続人が数人あるときは、相続開始から遺産分割までの間、共同相続人の共有に属するものであるから、この間に遺産である賃貸不動産を使用管理した結果生ずる金銭債権たる賃料債権は、遺産とは別個の財産というべきであって、各共同相続人がその相続分に応じて分割単独債権として確定的に取得するものと解するのが相当である。

これだけを見ると、「は?何言ってるの?」と言いたくなりますよね。でも実は、判決文問題はコツをつかめば理解できます

判決文問題 解き方のコツ

文章を区切る

まずは、問題文を区切って項目ごとにならべてみましょう。

  1. 遺産は、相続人が数人あるとき
  2. 相続開始から遺産分割までの間、共同相続人の共有に属するものである
  3. この間に遺産である賃貸不動産を使用管理した結果生ずる金銭債権たる賃料債権は、遺産とは別個の財産というべきである
  4. 各共同相続人がその相続分に応じて分割単独債権として確定的に取得するものと解するのが相当である。

今回の問題文は、この3つの事をつらつらと1つの文章に並べていたことになります。実際の試験問題では、わざわざ書き出すことは不可能ですから、文章の意味が途切れる部分でスラッシュを書きこみ、文章を区切ります。句読点の場所でなくてもOK!自分の中でここで区切ったらわかりやすいという場所で区切ってください!

遺産は、相続人が数人あるときは相続開始から遺産分割までの間共同相続人の共有に属するものであるからこの間に遺産である賃貸不動産を使用管理した結果生ずる金銭債権たる賃料債権は遺産とは別個の財産というべきであって各共同相続人がその相続分に応じて分割単独債権として確定的に取得するものと解するのが相当である。

区切った文章をそれぞれ言い換える

文章にスラッシュを入れて、分解して区切ったら、次は言葉をわかりやすいものに置き換えます。

1.遺産は、相続人が数人あるときは

遺産相続が発生したときに、相続する人が複数人いる場合の話をするね。

2.相続開始から遺産分割までの間、共同相続人の共有に属するものである

遺産は、相続開始=つまり亡くなったときから、遺産を分けるまでの間は、相続する人たち全員の共有だよ。

3.この間に遺産である賃貸不動産を使用管理した結果生ずる金銭債権たる賃料債権は、遺産とは別個の財産というべきである

亡くなった時から遺産をどう分けるか決める間に、亡くなった方が大家さんとして持っていたアパートからは賃料収入が発生するよね。この賃料は、遺産であるアパートとは、まったく別の財産なんだよ。

4.各共同相続人がその相続分に応じて分割単独債権として確定的に取得するものと解するのが相当である。

相続人の皆さんが、その決めた相続の割合に応じて、分けるものとしますよ。

これを文章に戻すと、こんな感じになります。

  1. 遺産相続が発生したときに、相続する人が複数人いる場合の話をするね。
  2. 遺産は、相続開始=つまり亡くなったときから、遺産を分けるまでの間は、相続する人たち全員の共有だよ。
  3. 亡くなった時から遺産をどう分けるか決める間に、亡くなった方が大家さんとして持っていたアパートからは賃料収入が発生するよね。この賃料は、遺産であるアパートとは、まったく別の財産なんだよ。
  4. 相続人の皆さんが、その決めた相続の割合に応じて、分けるものとしますよ。

かみ砕いた言葉になおすと、こんな意味合いになります!こうすることで、難しい判決文問題が何を言っているのか、理解しやすくなります。

①区切る → ②わかりやすい意味に変換する をやることで、圧倒的に解きやすくなります。練習で変換できるよう、何度もトライしてみましょう!

判決文問題への対策・心構え

問題を理解できるようになったうえで、判決文問題を解けるようにするには、いくつか心構えがあります!

こういうものだ、と理解しておけば、出題者側が何を狙っているのかがわかり、「そんな手にはのらないぞ!」と解けるようになってきます!

古い判例の判決文を出題してくる

そもそも、平成でもすでにけっこう前なのに、かなり昔の判決文を出題してくることがけっこうあります。令和3年12月試験の問1は、昭和40年の判決です。そもそも難しい言い方をして当然と思いましょう。

「こういう場合に」「こうなるよ」という部分を見つける

判決文問題の場合は、元々トラブルになっていますので、この場合はこうしますよ」という法律的な方向性が書いてあります。

今回の過去問の場合では

遺産は、相続人が数人あるときは、相続開始から遺産分割までの間共同相続人の共有に属するものであるから、この間に遺産である賃貸不動産を使用管理した結果生ずる金銭債権たる賃料債権は、遺産とは別個の財産というべきであって、各共同相続人がその相続分に応じて分割単独債権として確定的に取得するものと解するのが相当である。

この最初の箇所に、

  • 相続人が数人あるときは」=この場合
  • 相続開始から遺産分割までの間共同相続人の共有に属するものである」=こうなるよ

という箇所になります。

これをかみくだきバージョンに直すと、「相続する人が複数人いる場合、遺産は、相続開始=つまり亡くなったときから、遺産を分けるまでの間は、相続する人たち全員の共有だよ。」と、こうなるわけです。

結論はだいたい判決文の最後に書いてある

ほとんどの判決文問題では、結論は最後に書いてあります

今回の過去問の場合、「各共同相続人がその相続分に応じて分割単独債権として確定的に取得するものと解するのが相当である」というのが結論になります。

裁判官は、「●●だから、●●の場合、●●だよね。だから、●●となりますよ」という感じの事をすごく難しく言ってくれています(笑)

選択肢には、判決文と関係ない内容のものも出てくることがある

出題者側は、基本的に受験生を惑わせようとしていますので、判決文と関係のない選択肢が出てくることがあります

判決文問題の場合、判決文の中に書いてある内容で正解できることがほとんどです。

判決文の中に正解のヒントが含まれている

判決文問題は、選択肢を判決文にあてはめていって、それがあっているか間違っているかを1つずつ見ていきます。そうすることで、1つ1つの選択肢の意味がわかってくるかと思います。

なので、判決文をかみくだいてわかりやすい文章にするのは、とても大切なんですね!

焦りは禁物!最悪この問題は飛ばして、また戻ってくる

判決文問題は時間を奪っていくため、焦りますよね。最悪、この問題は飛ばしましょう

どの問題も1問の点数は変わりません。他の問題を埋めてから、この問題を改めて解くのもひとつの手です。

時間があれば、実際の判決を読んでみる

ここまではやらなくても良いと思いますが、時間があれば、実際の判決文を読んでみるのもひとつの手段です。なぜこの判決が出たのか?これは判決を読むと、その状況がわかります。

判決を見ると、そのときの状況を想像しやすくなります。そして頭の中で当時の状況でドラマを作ります。 詳しくはこちらの記事の「民法その2」をご覧ください。

ここまでくると、もう趣味みたいなものですね(笑) 正直、ここまでする必要はないかと思いますが、息抜きの一つとしてやってみるのも良いでしょう。

では実際に選択肢を1つずつ見ていきましょう。

選択肢1

遺産である不動産から、相続開始から遺産分割までの間に生じた賃料債権は、遺産である不動産が遺産分割によって複数の相続人のうちの一人に帰属することとなった場合、当該不動産が帰属することになった相続人が相続開始時にさかのぼって取得する。

先程のかみくだきバージョンを見ると、

  • 亡くなった時から遺産をどう分けるか決める間に、亡くなった方が大家さんとして持っていたアパートからは賃料収入が発生するよね。この賃料は、遺産であるアパートとは、まったく別の財産なんだよ。
  • 相続人の皆さんが、その決めた相続の割合に応じて、分けるものとしますよ」と言っていました。

これにあてはめると、「アパート」と「賃料」は別の遺産なので、アパートがAさんのものになったとしても、賃料は全員の共有になります。

なのでこの肢は誤りとなります。

選択肢2

相続人が数人あるときは、相続財産は、その共有に属し、各共同相続人は、その相続分に応じて被相続人の権利義務を承継する。

こちらも同じくかみくだきバージョンを見ると、

  • 遺産は、相続開始=つまり亡くなったときから、遺産を分けるまでの間は、相続する人たち全員の共有だよ。」
  • 相続人の皆さんが、その決めた相続の割合に応じて、分けるものとしますよ。」

と言っています。

この選択肢と同じことを言っていますね。なのでこの選択肢は正しいとなります。

選択肢3

遺産分割の効力は、相続開始の時にさかのぼって生ずる。ただし、第三者の権利を害することはできない。

こちらも同じくかみくだきバージョンにあてはめようとしましたが、この判決文の中には、遺産分割の効力は遡って生ずることは書いていませんね。判決文に記載のないものは、通常の民法が適用されます。

こちらは、通常の民法の勉強内容になります。こちらの選択肢は正しいとなります。

選択肢4

遺産である不動産が遺産分割によって複数の相続人のうちの一人に帰属することとなった場合、当該不動産から遺産分割後に生じた賃料債権は、遺産分割によって当該不動産が帰属した相続人が取得する。

この選択肢は、遺産分割後の賃料はどうなるのか、ということを聞いています。こちらも判決文の中には、記載の無い内容ですね。判決文に記載のないものは、通常の民法が適用されます。

普通に考えたら、賃料は大家さんであるオーナーに帰属しますよね。なので、この選択肢は正しいとなります。

まとめ

これで判決文の構造や特徴、分解して解読する方法がイメージできたのではないでしょうか。民法の中でもクセモノの判決文問題が、少しでも解きやすくなりますように!お役に立てれば幸いです!

りんぐる
りんぐる

判決文問題は、一度やり方のコツをつかむと面白いように解けるようになります。このやり方で是非チャレンジしてみてくださいね!

この記事を書いた人
りんぐる

家計を支える大黒柱のアラフォー妻・りんぐるです。
仕事、子育てをしながら 2021年10月 宅建に独学で一発合格。
2025年2月 FP3級に短期間で一発合格しました。
家族構成は 私・専業主夫の夫・小学生の男の子2人 の4人家族。

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